「・・・慈郎さん?」
さくのちゃんは、いつの間にか静かになってしまったジロちゃんを不思議に思い、
自分の膝を見ました。
膝の上に頭をのっけている人物は眠ってしまっていて。
「絶対寝ない、なんて言っておいて、やっぱり寝ちゃうんですね。」
呆れるんだか微笑ましいんだか、さくのちゃんにはよく分かりませんでした。
さくのちゃんはジロちゃんの上に、苦笑をひとつこぼします。
「ゆっくり寝てくださいね。」
言葉と一緒に、ジロちゃんの髪を、優しい手が撫でていきます。
どっちが現実(ほんとう)か現実(ほんとう)じゃないか、なんてちっぽけなこと。
僕が君を好きで、君が僕を好きならそれでいいよ。
それが、いい。
おやすみなさい。