AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する


だいすき。






 春の麗らかな陽射しを浴びながら、日曜日という機会を使って、私と彼は会った。
 あ、会ったというのはおかしいかな?私達は今も一緒にいるんだもんね。

 そしてふと、ある計画のことを思い出した。
 きっと、やるなら今ほど絶好な時はない。







「私、清純さんの髪好きです。」

 彼は彼女の発言に目を丸くした。
 それは普段の彼女が軽々しく好きだなんて言えない程照れ屋で恥ずかしがり屋だと
いうことが原因であったし、発言が意味深で唐突なことも原因のひとつであった。

「あ、ありがとう・・・・?」

 やっとそれだけ絞りだした彼のことなんて忘れているように、彼女は先を続けた。

「猫っ毛でぴょんってはねてるところとか、意外に柔らかいところとか、
 オレンジ色してるところも清純さんって感じがして好きです。」
「・・・俺は、日に焼けてちょっと茶色っぽくなっちゃってたり、
 三つ編みにされたりしてるその長い髪の毛も好きだよ。」

 流れるようにそう言って、彼は彼女の髪に手を伸ばした。

「感触が心地良いとこも好きだな。」
「・・わわ私は、清純さんの大きくて優しい手が好きです!」

 すぐ我に返り、慌ててまた自分の好きなところをあげた彼女に内心で笑いながら、
彼もまた、彼女の好きなところをあげた。

 それからはもう、『互いの好きなところ暴露大会』だ。
 これの厄介なところは、止め役がないところだろう。
 もっとも『惚気大会』と言い表すことも出来るこの口論を側で聞いている人がいたなら、
途中で嫌になって逃げ出すであろうが。

 二人が互いの相手の好きなところを幾つか上げて、もうそろそろネタが切れてきた頃。
 言っている最中にも何か言いたそうに彼の顔を見つめていた彼女が、
きっと顔を上げた。

「け、けれど、それはみんな、清純さんの一部だから好きなんですよ!だ、だから・・・!
 だ、だ、だから!清純さんが一番好きです!」

 顔を上気させている彼女の口から飛び出した言葉に、彼は珍しく顔を朱色に染めた。

 彼の顔を見た彼女は、柔らかい笑みを浮かべた。




「・・・俺は、桜乃ちゃん自身が大好きだよ。」




 勝利を確信した彼女を待ち受けていたのは、月桂樹の葉で作った月桂冠でも
祝福のファンファーレでもなく。

 彼女を一撃で粉砕出来る、彼特製の爆弾だった。


 物の見事に彼女から勝利を奪った彼は、そんなことにはお構いなしだったけれど。





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