朝の挨拶









 ――― いってきます。



 そう言って外にでると、なんだか急にやる気がでてくるのは

 ・・・俺だけかなあ。








「宍戸さんはどう思います?」

 俺の問いかけを受けて、ひとつ年上の先輩は考える仕草をした。
 そして一言。

「わかんね。」


(やっぱ他の人は違うのかなー。)

 顔を上げて、空をぼんやりと見つめる。


「でもこれだけは分かるぜ。」

 随分経ってから宍戸さんが付け足しみたいに言った。

「好きなんだろ、そう言って出ていくお前を見ててくれる人のこと。」

 こくんと頷くと、満足してるって声が、俺の耳に届いた。

「だろ?」





  ああそっか。好きな人に送り出してもらえるから。


  だからやる気がでるんだ。





「おいサボってんじゃねぇよ!」
「うっせぇな!サボってるわけじゃねぇよ!」

 そう叫びつつ部長のところへ行く先輩。

 その後を、すっきりした顔で追い掛けていく。









「いってきます。」
「いってらっしゃい。」


 君にそう言われるだけで。

 今日も頑張れそうだ。






この話での桜乃ちゃんのお相手分かります・・よね?
鳳です。