いつどこから攻撃されるのか分からないアークエンジェル内で、優雅に紅茶を飲んでいる人間が二人いた。
「これおいしいね。なんていう名前の紅茶なの?」 「えーっとねぇ、『大和撫子』だって。色んなハーブティーをブレンドして作った紅茶みたい。」 「へー。」 茶色っぽい髪をもった、少年と少女である。 二人は案外安そうなテーブルの上に茶菓子を乗せ、ゆったりとした時間を過ごしていたが、少年が「そろそろかな。」と呟くと同時に立った。 部屋の隅に片付けてあった椅子を三脚持ってきて、テーブルの近くに並べると、また何事もなかったかのように元の位置に戻り、紅茶を飲み始めた。 それから十秒後。 「だーかーらー!お前は細かいことにこだわりすぎだ!」 「何を言ってるんだ!これは細かいことじゃない!お前が大雑把すぎるんだ!」 「キラ、ミリアリア。お邪魔しますわ。」 青い髪を持っている神経質そうな少年と、勝気そうな目をした金髪と、ぽわぽわしているピンクの髪の少女達が、一斉にキラとミリアリアと呼ばれた少年と少女の部屋(正確にはキラの部屋)に押しかけてきた。 「はいはい。カガリもアスランも紅茶を飲んで落ち着いて。」 すいっとテーブルの上にカップを並べられ、お互いがお互いとは隣り合わせにならないように座る二人に苦笑しながら、キラはポットに手を伸ばす。 ミリアリアは、そんなキラにポットを手渡しながら、喧嘩中の二人に聞えないような声で話しかけた。 「今日はまた随分と大きい喧嘩をしたようね。」 「そうみたいだね。」 微笑むというよりは悪戯っぽい様子で笑い合う。 そうした後でキラは、カップの中に紅茶を注いでいく。 仕方ないから冷静になる時間をあげようか。 そういった思いを込めながら。 日記で書いた小話。じゅんさんに捧ぐ。
アレンといると、リナリーは時々悲しくなる。 彼には、自身から人を遠ざける時がある。 (ほら、ね。) リーバーの体が接触しそうになった瞬間、それとは思わせない自然な動きで、彼の右手はさらりと逃げた。 彼のしたそんな動作に、恐らくこの場の誰も気付いていない。 あの動作に誰も気付かないこと。その時の彼の心中。 その二つを思って、リナリーの心は痛んだ。 (大体、アレン君のあれは完璧すぎるのよ。) あまりにも完璧すぎるから、ひょっとすると彼も気付いていないのかもしれない。 ふと、今まで気付いていなかったことに気付いたリナリーは、いっそう悲しくなって両手で顔を覆った。 (ああ、私達は彼に仲間としてみてもらえてないのね。) アレン←リナリー(D.Gray-man)
君とバイオリン。 彼女の問いにそう答えたら、夢の中とまったく同じ言葉が返ってきて、思わず笑ってしまう。すると、それをどう受け取ったのか、夢野君は傾げさせていた首を更に深く傾げた。 「いや、なんでもない。」 自分でも驚くほど自然に移動した手の平で、彼女の頭を出来うる限り優しく撫でながら、視線を合わせる。 撫でられていることに多少驚いているようだが、けして嫌そうにしていないことに安堵を覚えた自分自身に、あの日あの時唐突に自覚した自分の想いを再度自覚はしたけれど、もう驚くことはなかった。 (ああ、やはり。) 君は妹なんかじゃなくて。 「君には、僕のバイオリンを誰よりも近くで聞いていて欲しいからだ。」 それだけが、僕の夢。 恵一×歌(おねがいマイメロディーくるくるシャッフル!)
|